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y=x2(二乗)の放物線

さて、このように「写楽の作品の中に図形が登場する」ことを最初に指摘されたのは、日本画家の中村正義氏でした。氏の著書の『写楽』(1970年ノーベル書房)の第一章写楽の絵画的分析20か条の中の、「放物線」の項から以下抜粋引用します。

「その型、カーブの仕方が一定で、他の作者とは異なった独自のものを持つ。型はy=x2(二乗)のグラフが描く放物線のふくらみに近く、頂点を中心にほぼ左右対称になる。また非常になめらかでのびのびしている。放物線のふくらみは描く上で難しく、いびつになったり、先のまるみが尖ってしまったりしがちである。(中略)この無意識の中に現われた特徴は興味ある写楽の一面としてまことに好もしい。この弧の繰り返しによって、リズミカルで動きのある画面を作っているのである。」

 そういった点に留意して、新たに写楽の初期の「大首絵」を子細に見ますと、そもそも彼の造形の基本が「放物線」であるという事に、気付かされます。例えば左の「二代目板東三津五郎の石井源蔵」は、口とその下にある服の皺を描いた「衣紋線」が同形の放物線ですし、肩のライン、髪の毛の鬢の周りのほつれ毛のカーブ、下側の服、眉、目の上の輪郭、耳の中の耳郭を現わす「線」なども、放物線のカーブで表現されています。

 また例えば下に掲げた、「三代目坂田半五郎の藤川水右衛星門」でも、髪型、後頭部の髷、目の上部のカーブ、着物の中の拳が作るカーブ、そして人物の左腕から左肩と右肩が作る輪郭も、y=x2(二乗)の放物線をひっくり返した形状をしています。この点は、他の写楽の初期の大首絵の人物に共通しています。この人物が大きな頭のわりには「薄い肩」「なで肩」というのも、放物線の形を描きたいがためではないかと、思います。

  次に、写楽の絵の、もう少し細かい所を考察していきたいと思います。