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写楽は最初のキュビズム?

今度は、写楽の描いた役者達の顔について、共通する特徴について考察したいと思います。写楽の描く顔については、

 1.頭部の中に占める「顔」の割合が多い。また顔の中央部・目から口までの部分(人相学でいう「中停」)の部分がやはり大きい。従って小さい頭(といってもかなりの大きさですが)に、大きな顔をぐっと嵌め込んでいる印象を免れない。

 2.実に「眉毛」の形が多彩である。そしてそれと「口」の形が対応している。

 3.眉と目の間(田宅)が広い。眼の上部のみ、太い輪郭線で描かれている。

 4.鼻のラインも多彩であるが、基本的に縦長で大きい。鼻の中央の線が切れている(よく指摘される写楽の特徴の一部)そして鼻の穴を示す線が小鼻のすぐ脇から出ている

 5.概して、鼻が大きい割に、口が小さい(大谷鬼次のような例外もあり)

 6.耳は、4の鼻の下のラインを切っているのと同様に、耳たぶと耳の輪郭の線が切れている。また顔の中心線を取ると、鼻の下(人中)の真下に唇の端が来ている。そして口の端が顔の向こう側の線と交差せずに、少し間隔をあけている。

 7 .顔の大小、太っているかどうかに関わらず、いわゆる「えら」の部分が張っている。また顎の形が丸く盛り上がってむっちりしているなど、共通している。

顔以外では、肩の部分が、角度が「内側」に折り返しているように感じ取れる作品が多い。


 左図は、写楽の「大谷鬼次の奴江戸兵衛」「市川鰕蔵の竹村定之進」「市川門之助の伊達与作」「嵐龍蔵の金貸石部金吉」をMorpherで合成したもの。写楽には、いわば「平均顔」というのが存在することがお分かりいただけるのではと思い、稚拙ながら作ってみました。

 8.そして斜前から人物を見た構図なのに、鼻の付け根(山根)から左右の目までの距離、および眉間から左右の眉までの距離が等しい。つまり「正面から見た顔」を折り紙のように折って嵌め込んでいるように感じられる。

 これはどういうことかといいますと、まず下の歌麿の「高島屋おひさ」を見て下さい。左右の眉と目の比率の、A:aとB:bは、1.9:1と、1:0.6になっています。つまり眉が目の倍近く、そして左が右の倍に近いという比率です。これが写楽ですと、例えば上の「八代目守田勘弥の駕篭舁鶯の治郎作」を調べてみると、A:aとB:b(この場合逆向きなので、右をA左をBとします)2:1.31.8 :1となり、特に左右の距離にあまり差がないということになります。ちなみに「大谷鬼次の奴江戸兵衛」だと、2.2:1.31.5:0.9となります。 




 

 

 

 

 

  もう少しわかるようにと、奴江戸兵衛の3DCGを「六角大王」で作って見ました。そして3DCGの、奴江戸兵衛を写楽の絵と同じ角度に向けると、実際には眉毛は、相当に短くなるというのが分かりました。(下左図)

 

 9.全体的に、耳・鼻・顎のライン・形状は、斜め前というより、真横から見た形に近い。つまり写楽は人の「横顔」をスケッチした経験が豊富である。

 左図は「大谷鬼次の奴江戸兵衛」をphotoshopで顔の右側の一部を黒く塗りつぶしたものです。鼻・顎のライン、眉毛 の形、目の形と向き、耳の位置と形、えらのライン、口の端の締まり具合、肩の角度いずれをとっても、真横から見た 形と捉えた方が、より自然に見えます。また先にあげた3DCGを、真横に向けてみると、奴江戸兵衛の顔のラインに 極めて近いということが、おわかりいただけると思います。

 


 こういった要素の複合から、写楽の大首絵は、立体的でクローズアップしているように見えるのだと考えられます。いわばキュビズムの元祖といえるかもしれませんね。


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